その男性は伊佐美と理央を穏やかに見つめると砕けた笑みを見せる。
「――お待ちしておりました、伊佐美副社長。本当に社長以外の方といらっしゃるなんて驚きましたよ」
「やっぱり疑われていたんですね。ほら、ちゃんと足の生えてる生身の人間ですよ。彼女が友人の佐山さん」
伊佐美は理央を片手でさし示し、着物の男性は静かに唇を持ち上げた。
「いやはや、失礼いたしました。うちの店を一層彩る、お美しい方ですね」
そう言って理央の前に一歩進み出る男性に伊佐美が微笑み紹介する。
「この人はオーナーの蓮見さんだよ」
「はじめまして、佐山と申します。素敵なお店で、思わず別世界に来たかと思いました」
「ありがとうございます。申し遅れましたが私、MAREのオーナーを務めております。蓮見と申します。この店は私のこだわりが詰まっておりまして……本日はごゆるりとお寛ぎください」
流れるような所作で深々と頭を下げた蓮水は、慣れた手つきで着物の胸元から名刺を取り出し理央に差し出す。
「頂戴いたします。……わぁ、切り絵ですか?素敵」
小さく和柄の切り絵が入った名刺に感嘆の声を漏らすと蓮水は満足そうに言った。
「えぇ、我が家の家紋をモチーフにテイストを変えてデザインいただいたものでして。実は伊佐美様に相談してデザイナーをご紹介いただき作ったものなのですよ。大変気に入っております」
柔和な笑みを浮かべた蓮水は、それから饒舌に語りながら個室の座敷へと案内してくれた。
「軽食の予定と伺っておりましたが変わりなかったでしょうか?」
「えぇ。言ってた通り披露宴後なんでね」
「承知しました」
蓮水が下がると徐に伊佐美が先に上がるよう促すので座敷に上がったものの、理央はさすがにおかしいと感じ始めていた。
「――お待ちしておりました、伊佐美副社長。本当に社長以外の方といらっしゃるなんて驚きましたよ」
「やっぱり疑われていたんですね。ほら、ちゃんと足の生えてる生身の人間ですよ。彼女が友人の佐山さん」
伊佐美は理央を片手でさし示し、着物の男性は静かに唇を持ち上げた。
「いやはや、失礼いたしました。うちの店を一層彩る、お美しい方ですね」
そう言って理央の前に一歩進み出る男性に伊佐美が微笑み紹介する。
「この人はオーナーの蓮見さんだよ」
「はじめまして、佐山と申します。素敵なお店で、思わず別世界に来たかと思いました」
「ありがとうございます。申し遅れましたが私、MAREのオーナーを務めております。蓮見と申します。この店は私のこだわりが詰まっておりまして……本日はごゆるりとお寛ぎください」
流れるような所作で深々と頭を下げた蓮水は、慣れた手つきで着物の胸元から名刺を取り出し理央に差し出す。
「頂戴いたします。……わぁ、切り絵ですか?素敵」
小さく和柄の切り絵が入った名刺に感嘆の声を漏らすと蓮水は満足そうに言った。
「えぇ、我が家の家紋をモチーフにテイストを変えてデザインいただいたものでして。実は伊佐美様に相談してデザイナーをご紹介いただき作ったものなのですよ。大変気に入っております」
柔和な笑みを浮かべた蓮水は、それから饒舌に語りながら個室の座敷へと案内してくれた。
「軽食の予定と伺っておりましたが変わりなかったでしょうか?」
「えぇ。言ってた通り披露宴後なんでね」
「承知しました」
蓮水が下がると徐に伊佐美が先に上がるよう促すので座敷に上がったものの、理央はさすがにおかしいと感じ始めていた。



