思い出を脳裏で巡らせながら化粧室を出ると、最悪なことに零士の友人と目が合った。
――げっ……来るな、来るな、あっち行けっ。
片手を挙げて、にこやかに近づいてくるチャコールグレーの金髪男性が一人。
彼は地元の同級生で、金髪は母親の欧米の血が強く出ている天然ものだ。
碧い瞳を細めて手を振ってくる姿に後退ったが、背後のトイレはもう列が出来ている。
しまったと思った時には時すでに遅く「やっぱり理央だ」と距離を詰められていた。
彼は、理央の知る人類史上デリカシーのない男、幡本徹だ。
ハーフの徹は見てくれがまるで少女漫画に出てくるような金髪王子で、幼少期からイケメンと持て囃されたせいで自分の外見に胡坐をかいている勘違い男である。
元はと言えば理央が零士と別れるに至ったのも、この男が元凶だった。
こいつさえ居なければ……と何度ベッドの中で恨み節を吐いたことだろう。
『理央って男友達多いじゃん?付き合ってるっつっても、零士もそのうちの一人って感じするよな』
学生時代のことだが、徹は零士にそう言ったらしい。
なぜ知っているかといえば、零士が引越した後、なんとご丁寧にわざわざご本人が教えてくれたのだ。
物語の悪役などはこぞって自分の仕事を語って披露したがるものだが、彼もまたそういう気質があるのかもしれない。なにせ嫌な性格をしているので。
『実は俺、理央のこと狙ってたんだよ。だから零士が羨ましかったというか……でもそれで揺らぐってその程度の感情だろ?俺はちゃんとお前の事好きだから、付き合って』と何故か得意げにされて『お前のせいかよ!!』と心の中で盛大に叫び、「……いや、無理」と冷めた眼で返した日を今も鮮明に覚えている。
そんな気まずい間柄でもある徹だが、どうやら彼はそんな風には捉えていなかったらしい。
――げっ……来るな、来るな、あっち行けっ。
片手を挙げて、にこやかに近づいてくるチャコールグレーの金髪男性が一人。
彼は地元の同級生で、金髪は母親の欧米の血が強く出ている天然ものだ。
碧い瞳を細めて手を振ってくる姿に後退ったが、背後のトイレはもう列が出来ている。
しまったと思った時には時すでに遅く「やっぱり理央だ」と距離を詰められていた。
彼は、理央の知る人類史上デリカシーのない男、幡本徹だ。
ハーフの徹は見てくれがまるで少女漫画に出てくるような金髪王子で、幼少期からイケメンと持て囃されたせいで自分の外見に胡坐をかいている勘違い男である。
元はと言えば理央が零士と別れるに至ったのも、この男が元凶だった。
こいつさえ居なければ……と何度ベッドの中で恨み節を吐いたことだろう。
『理央って男友達多いじゃん?付き合ってるっつっても、零士もそのうちの一人って感じするよな』
学生時代のことだが、徹は零士にそう言ったらしい。
なぜ知っているかといえば、零士が引越した後、なんとご丁寧にわざわざご本人が教えてくれたのだ。
物語の悪役などはこぞって自分の仕事を語って披露したがるものだが、彼もまたそういう気質があるのかもしれない。なにせ嫌な性格をしているので。
『実は俺、理央のこと狙ってたんだよ。だから零士が羨ましかったというか……でもそれで揺らぐってその程度の感情だろ?俺はちゃんとお前の事好きだから、付き合って』と何故か得意げにされて『お前のせいかよ!!』と心の中で盛大に叫び、「……いや、無理」と冷めた眼で返した日を今も鮮明に覚えている。
そんな気まずい間柄でもある徹だが、どうやら彼はそんな風には捉えていなかったらしい。



