今日、元恋人が結婚する。
「――まもなく、新郎新婦入場です」
司会者のアナウンスによって、先ほどまで歓談に満ちていた会場は潮が引いてゆくように静寂に包まれ、一同の視線は照明が導く扉へと集まった。
主役の二人を今か今かと待ち望む中に佐山理央は居る。
「それでは皆様、盛大な拍手でお迎えください」
瞬間、横顔を照らしていた光が輝きを増して、純白のウェディングドレスに身を包む後輩とシルバーのスーツを着こなした幼馴染が現れた。
わっと一斉に熱気が上がり、拍手の音が会場全体を満たしてゆく。
照れ混じりの笑顔が可愛らしい会社の後輩――桜井千春が理央の幼馴染である東雲零士を見上げ、彼もまた普段の生真面目な面構えを崩し、新婦を気遣うように見つめて頷いた。
零士が千春へと向ける優しく包み込むような特別な視線、それは理央にも覚えのあるものだ。
新郎の零士は、幼馴染で、初恋で、かつての恋人。
おまけに会社の同僚と、今どきこんな典型的負けヒロインの代名詞をいくつも持っている人間などそう居ないだろう。
しかし紛れもなく理央はその“選ばれなかった側”の人間だった。
「――まもなく、新郎新婦入場です」
司会者のアナウンスによって、先ほどまで歓談に満ちていた会場は潮が引いてゆくように静寂に包まれ、一同の視線は照明が導く扉へと集まった。
主役の二人を今か今かと待ち望む中に佐山理央は居る。
「それでは皆様、盛大な拍手でお迎えください」
瞬間、横顔を照らしていた光が輝きを増して、純白のウェディングドレスに身を包む後輩とシルバーのスーツを着こなした幼馴染が現れた。
わっと一斉に熱気が上がり、拍手の音が会場全体を満たしてゆく。
照れ混じりの笑顔が可愛らしい会社の後輩――桜井千春が理央の幼馴染である東雲零士を見上げ、彼もまた普段の生真面目な面構えを崩し、新婦を気遣うように見つめて頷いた。
零士が千春へと向ける優しく包み込むような特別な視線、それは理央にも覚えのあるものだ。
新郎の零士は、幼馴染で、初恋で、かつての恋人。
おまけに会社の同僚と、今どきこんな典型的負けヒロインの代名詞をいくつも持っている人間などそう居ないだろう。
しかし紛れもなく理央はその“選ばれなかった側”の人間だった。



