「……は?」
リビングに響いた、私(葵)の気の抜けた声。
目の前で、母・啓子が優雅に紅茶をすすりながら、信じられない爆弾を投下した。
「というわけでね、お父さんと正式に再婚することになったの。で、明日からこの子も一緒に暮らすから。二人とも、お姉ちゃんだから仲良くしてあげてね」
母の隣で、ぺこっと頭を下げた一人の少年。
前髪の隙間から覗く涼しげな目元、整った鼻筋、そして少し不敵で、どこか儚げな笑み。
――嘘でしょ?
私の頭の中で、脳内データベースが一瞬でバグを起こした。
画面の向こう、何万人ものファンを狂わせ、私と妹の灯が全財産をつぎ込んできた配信者グループの絶対的センター。――『yuta』。
その本物(いえ。ただ、似てるだけです!)が、今、我が家のリビングに立っている。
ほ、本物……⁉(いいえ。ただ、似てるだけです! 本物ではございません!!)
え、何で、本物が……⁉(いいえ。ただ、似てるだけです! 本物ではございません!! 脳が勝手に反応してるのかな?)
名前は美飛(みどり)。しかも、中2の「弟」として。
「え、待って待って待って!」
隣で固まっていた妹の灯が、一歩前に飛び出した。灯の目はすでにハートマークを通り越して、ヤバい光を放っている。
「み、美飛くん……? いや、弟……? やばい、実在してた。画面から飛び出してきた。しかも私の弟とか、神様は私に何の試練を与えたいの!?」
「こら、灯! 落ち着きなさい、お母さんの再婚相手の連れ子……じゃなくて、ええと……」
頭が追いつかない。母の複雑な過去(昔離婚した元夫との間に生まれたのが美飛で、今回はその元夫――守孝さんとヨリが戻った……だっけ?)の事情なんて、このビジュアルの衝撃の前にはすべて吹き飛んでいた。
そんな私たちパニック状態の双子をよそに、美飛はふわりと微笑み、私たちのほうへ一歩近づいてきた。
「はじめまして、葵姉ちゃん、灯姉ちゃん。……これからよろしくね?」
その声、その甘いトーン、そして少し上目遣いにこちらを見るあざとい角度。
――完全に、アウトだ。
「絶対に好きになってはいけない人」が、よりによって毎朝同じ屋根の下に現れた瞬間だった。
リビングに響いた、私(葵)の気の抜けた声。
目の前で、母・啓子が優雅に紅茶をすすりながら、信じられない爆弾を投下した。
「というわけでね、お父さんと正式に再婚することになったの。で、明日からこの子も一緒に暮らすから。二人とも、お姉ちゃんだから仲良くしてあげてね」
母の隣で、ぺこっと頭を下げた一人の少年。
前髪の隙間から覗く涼しげな目元、整った鼻筋、そして少し不敵で、どこか儚げな笑み。
――嘘でしょ?
私の頭の中で、脳内データベースが一瞬でバグを起こした。
画面の向こう、何万人ものファンを狂わせ、私と妹の灯が全財産をつぎ込んできた配信者グループの絶対的センター。――『yuta』。
その本物(いえ。ただ、似てるだけです!)が、今、我が家のリビングに立っている。
ほ、本物……⁉(いいえ。ただ、似てるだけです! 本物ではございません!!)
え、何で、本物が……⁉(いいえ。ただ、似てるだけです! 本物ではございません!! 脳が勝手に反応してるのかな?)
名前は美飛(みどり)。しかも、中2の「弟」として。
「え、待って待って待って!」
隣で固まっていた妹の灯が、一歩前に飛び出した。灯の目はすでにハートマークを通り越して、ヤバい光を放っている。
「み、美飛くん……? いや、弟……? やばい、実在してた。画面から飛び出してきた。しかも私の弟とか、神様は私に何の試練を与えたいの!?」
「こら、灯! 落ち着きなさい、お母さんの再婚相手の連れ子……じゃなくて、ええと……」
頭が追いつかない。母の複雑な過去(昔離婚した元夫との間に生まれたのが美飛で、今回はその元夫――守孝さんとヨリが戻った……だっけ?)の事情なんて、このビジュアルの衝撃の前にはすべて吹き飛んでいた。
そんな私たちパニック状態の双子をよそに、美飛はふわりと微笑み、私たちのほうへ一歩近づいてきた。
「はじめまして、葵姉ちゃん、灯姉ちゃん。……これからよろしくね?」
その声、その甘いトーン、そして少し上目遣いにこちらを見るあざとい角度。
――完全に、アウトだ。
「絶対に好きになってはいけない人」が、よりによって毎朝同じ屋根の下に現れた瞬間だった。



