「氷の天才外科医の激甘な課題添削」 冷徹な外科部長は難攻不落の愛し君だけに甘く狂う

その時、廊下の向こうから回診を終えた桐生が歩いてくるのが見えた。

​「桐生副医局長!」

​凛の声に、桐生は足を止めた。

凛が切迫した表情で駆け寄ってくるのを見て、桐生の表情が一瞬で引き締まる。

​「どうした、桜井」

​「402号室の佐藤様です! バイタルは正常範囲内ですが、カリウム値の微減と心電図V3〜V4でのT波平坦化を確認しました。 本人も軽度の胸部圧迫感を訴えています」

​桐生は凛の迅速かつ完璧な報告に、一瞬瞳を見開いた。

今朝、自分が赤字で書き込んだ知識を、彼女は完全に自分のものにし、臨床の現場で完璧に適応してみせたのだ。

​「……よく気づいた、桜井。直ちにニトログリセリンの静注準備。心筋酵素の緊急採血と、心エコーの手配だ!」
​
「はい!」

​2人は同時に走り出した。