「氷の天才外科医の激甘な課題添削」 冷徹な外科部長は難攻不落の愛し君だけに甘く狂う

凛の手が、吸入管を正確な角度で伸ばす。

執刀医の視界を遮ることなく、かつ切開部から滲み出る血だまりを的確に吸い上げていく。

その一連の動作には、新人にありがちな迷いが一切見られなかった。

​桐生の視線が一瞬だけ、サクションのノズルを操作する凛の指先に注がれる。

寸分の狂いもない吸引だ。

指示を出したコンマ数秒後には、完璧な視野が確保されていた。

​(……相変わらず、俺の圧迫感に怯えて手を震わせるような真似はしないな)

​桐生は心の中で冷徹な仮面を被り直しつつも、内面では凛の完璧な仕事ぶりにどこか誇らしさを覚えていた。

​「……桜井、5-0プロリン」

​「はい」

​桐生が求めるコンマ数秒前に、必要な器械が正確な角度で手に収まる。