占い師ミラと予言カード

 中島の話を聞くとこうだ。
 幼稚舎からこの学園に一緒に通っている幼馴染が初めて違うクラスになってしまったらしい。
 彼も特進クラスだが、中島は1組、彼は3組だという。
 中等部からは外部からの受験生もいるので、その幼馴染が誰かを好きになってしまったらどうしようと不安になり、中島はラブレターを描くことにしたのだと。
 そのラブレターを渡すことを決めた先週の木曜日。
 登校してすぐに自分のロッカーにラブレターを入れて、放課後渡そうとロッカーを見ると、その手紙は跡形もなく消えていたのだそうだ。
 朝日も常田も中学受験組で、中島の幼馴染について知らないので話しても問題ないと思ったのだろう。
 クラスのイケメンツートップに目が眩まない、幼馴染思いの中島はまっすぐな子で、噂の黒魔術にさえもすがりたかったのだ。

「ラブレターについて知ってるのは、ここにいるメンバー以外にいる?」

 ミラは中島のロッカーを勝手に開けて、ラブレターを盗んだ人物がいると考えた。
 手紙が勝手になくなるなんてあり得ない。
 神隠しなど、ミラは信じていないのだ。
 黒魔術だって信じているわけではない。
 興味で本を読み漁っていただけで、魔法はもちろん、神やお化けなんて信じない。

「え? ラブレターのことを知ってる人?」
「うん」
「親友のユイには、話だけど……」
「ユイって、飯田さん?」
「あ、うん。朝日くんの後ろの席の飯田ユイだよ」

 朝日が話に入ってきて、そういえば朝日の後ろの席に髪色が明るい人形のような子がいたなとミラは思い出した。

「その子が盗んだ可能性は?」

 ミラが間髪入れずに聞く。
 すると、中島はばっと立ち上がり「そ、そんなわけないよ!」と声を大にして否定した。

「どうしてそう言い切れる?」

 同情のない質問を重ねた常田に、中島は涙を浮かべなら反論した。

「ユイはシュウくんと同じ、幼馴染だよ。幼稚舎からの親友で……私がショウくんのことが好きなのを知って、ずっと応援してくれていたんだもん」

 中島の目からは涙がポロポロと流れる。
 ミラは立ち上がって、中島に寄り添い、月の黄色い刺繍が施された真っ黒なハンカチを差し出した。

「これ使って」
「……ぐすん。ありがとう……」
「中島さん、辛いと思うけど、飯田さんに話しを聞いていい?」

 この状況でミラも案外辛辣な質問を投げかけた。
 朝日はその状況をすぐに察知して「まあまあ、黒瀬さん。まずは中島さんの気持ちを聞いてみようや」と会話に割って入った。
 そして「カイ、女の子を泣かせたらあかん」と常田を注意した。
 しばらくして、中島は涙と鼻水が止まると、つらつらと自分の思いの丈を述べた。
 それは、親友である飯田ユイが盗むはずはない。何かの拍子でどこかに落ちてしまったと思うから一緒に探してくれないかというものだった。