天才料理少女は、イケメン兄弟の恋心に気づかない

私の前にスマホの画面を向けてきたのは、栗色の髪の男の子の横に立っていた黒い髪の男の子。

私より少し背が低い。

制服がぶかぶかだから、新一年生かな?

凛(りん)とした顔立ちだけど、栗色の髪の子とどことなく似ている。

兄弟?



「あ……」



遅れてスマホの画面を見て固まった。



「……人違いですっ」



猛ダッシュで逃げた。

ホームに下りると、運よく電車が来たので、そのまま乗り込む。

助かった。

動き出した電車の中で、肩で息をしながら、気持ちを落ち着ける。

でも、心臓はずっとバクバクと音を立てていた。

なんで、私ってわかったの? 怖すぎる!

お母さんが、自分のSNSに、私が料理をしている動画をたびたびアップしていた。

でも、顔は一切写っていない。

しかも、最後に投稿したのは5年も前。



「もう二度と会いませんように」



地下鉄の暗い車窓を眺めながら、ぶるっと体を震わせた。