天才料理少女は、イケメン兄弟の恋心に気づかない

「昔、マリーにいるとき、あの動画をよく見てた。上手だな、おいしそうだなって。だから、俺たちの中で、マリーの思い出はこの動画とつながってて」

「そんなの私には……」



関係ない、知らないって言えなかった。

そんな、思いつめた顔をしないでよ。



「そもそも、なんであの動画が私だって」



顔も写っていない、5年以上前のものなのに。



「ここ」



律くんの指が、私の親指の付け根を指した。

そこにあるのは、小さな黒子(ほくろ)と、その少し下にある薄い茶色の痣(あざ)。



「SNSの更新は止まっているから、長いこと見てなかったんだけど、最近また見始めてて。マリーの料理、俺にどうにかできないかなって思って」



まさか、こんなところが原因でバレるなんて。

どれだけ、あの動画を見てたのよ。

怖いとは思う。

それなのに、嫌な気持ちにはならない。

律くんから切羽詰まった空気を感じるからだろうか。



「……いつ気づいたの?」