「椎名さん?椎名さーん?」
!!
「あ、は、はい!?」
驚きで、声がうわずった。
「上の空ですか。いけないですよ!気を付けてね」
「は、はい…」
「〜〜〜………」
はぁ……。
なんでわたしって社長令嬢なんだろう。
――椎名財閥。
日本トップを誇るエリート企業。
お父さんがそこの社長なのだ。
おじいちゃん、ひいおじいちゃん、ひいひいおじいちゃん…
代々受け継がれてきた社長の襷。
それを、わたしが受け取って、次のランナーに渡せって言うの?
無理…わたしなんかに、そんな……
…士方碧。
わたしの人生を壊した人。
そんな人が許嫁だなんて…
今わたしは17歳。
あと少し、1年ないうちに、許嫁が迎えに来る。
1年が、刻一刻と迫ってくる……
「椎名さん、ここの大問3のC問、解いてみて?」
「はい…ここは……」
言い終わって席に着きながら、広瀬先生の隣にピシッと姿勢を正して立つ碧さんをちらりと見てみる。
…この人が、わたしの許嫁……
どんなにいい人でも認めない。
こんな顔だけの奴が許嫁なんて……。
大嫌い、大嫌い、だいっきらい!

