好きな男の子が幽霊になって会いに来た話。

どれくらい、そうしていたんだろう。

ふと、気づく。

さっきまで耳に入っていた、ざわざわした声。

椅子を引く音。

泣き声や、すすり泣き。

全部、消えていた。

教室は、しんと静まり返っていて。

残っているのは、私だけ。

夕方の光が、窓から差し込んでいる。

オレンジ色に染まった教室は、やけに綺麗で、

それが、ひどく現実味がなくて。

……ねえ、要くん。

誰もいない空間で、声に出さず、名前を呼んだ。

返事が来ないことくらい、分かっているのに。

要くんの席を見た。

空っぽの机と椅子。

そこに、彼がいないという事実だけが、静かに、でも確実に、胸の奥に沈んでいく。

この場所に。

この教室に。

もう、要くんはいない。

それを理解した瞬間、胸の奥の“穴”が、少しだけ広がった気がした。

ああ、私いま........とても、独りだ。