好きな男の子が幽霊になって会いに来た話。

昨日も。

その前の日も。

要くんは、いつも通り笑ってた。

でも、もしあの時。

私が、何か声をかけていたら。

まただ。

また、何もできなかった。

視界が滲んで、

誰の顔も、見えなくなった。

要くんの席だけが、やけに、遠く感じた。

心にぽっかりと、穴が空いたみたいな感覚。

人が、死ぬ。

……それも、大好きだった人が。

小説とか、漫画とか。

そういう作り物の世界でしか起こらない出来事だと思っていた。

ページをめくれば終わるし、画面を閉じれば現実に戻れる。

なのに。

今、目の前に広がっているのは、現実だった。

逃げ場のない、ノンフィクション。

物語の主人公みたいに、声を上げて泣き崩れることも、

嗚咽して、周囲に心配されることも無かった。