好きな男の子が幽霊になって会いに来た話。

……ねえ。

昨日まで、そこにいたじゃん。

明るくて、うるさくて。

「おはよー!」って、ドアを勢いよく開けて。

ギターの話とか、どうでもいい冗談とか。

一人で孤立していた私を、

何も考えずに、日の当たる場所へ引っ張ってくれた人。

私の――大好きな人。

胸の奥が、じんわりと痛くなった。

でも、それが何の痛みなのか、まだ分からなかった。

「今日は……皆、帰宅するように」

担任はそれだけ言うと、教室を出ていった。

扉が閉まる音が、やけに大きく響いた。

しばらく、誰も喋らなかった。

やがて、誰かが、乾いた声で言った。

「……嘘、だよな?」

それに答えるみたいに、別の誰かが首を振る。

「当たり前でしょ……っ!

要が死ぬなんて、そんな……そんなの、おかしいじゃん」

ざわざわと、教室がざわめきはじめる。