好きな男の子が幽霊になって会いに来た話。

その名前が担任の口から零れた瞬間、意味を理解するまでに、

少し時間がかかった。

「死んだ」という言葉と、「早見要くん」という名前が、

うまく結びつかなかった。

このクラスの中心で、いつも笑っていて。

教室に入ってくるだけで空気が明るくなる、太陽みたいな人。

人懐っこくて、誰とでも自然に話して。

私みたいに、隅で小さくなっている人間にも、当たり前みたいに

声をかけてくれる人。

それが……早見要くん。

明日の夕方、お葬式が行われること。

クラス全員で出席すること。

担任はそれだけを、ぎこちなく伝えた。

一日で一気に老け込んだみたいな顔だった。

青ざめて、視線を落としたまま。

先生の声は、少し震えていた気がする。

教室は、しんと静まり返っていた。

誰も座っていない、要くんの席。

あってほしくなかった「空白」に、みんなの視線が吸い寄せられていく。