好きな男の子が幽霊になって会いに来た話。

要くんは一瞬きょとんとしたあと、くくっと笑う。

「なんだそれ。俺、シャボン玉かよ」

そう言って、冗談めかして手を振る。

「大丈夫だって。ほら」

そう言って、要くんは一歩、優華に近づいた。

心臓が、跳ねる。

……やめて。

来ないで。

消えないで。

いろんな感情が、同時に喉元までせり上がる。

でも、要くんは止まらない。

そして——

優華の目の前で、ぴたりと足を止めた。

「……な?」

にっと笑って、いつもの軽い声で。

「ちゃんと、いるっしょ」

優華は、息をするのも忘れて、

目の前の“存在”を、ただ見つめていた。