言葉はやがて繋ぎ、紡ぎ、 そしてひとつの恋となる。

翌日

学校に登校した時、何やらクラスが賑わっていた。

それも昨日の比ではなく、とにかく女の子達の叫び声などが鳴り響いていた

な、何事っ…?

すると、クラスの女の子が興奮した様子で私たちに声をかけた

「ちょっ…!2人とも遅い!
玲央様が来てるんだよ!?」

れお…様?

「落ち着いて。
その玲央?って誰」

「えっ莉央、まさか知らないの!?」

「知らない」

「琴音は?」

「私も知らない…」

「嘘でしょ!?」

その子は信じられない…という様子で私達を見た。

そ、その玲央様(?)って人…皆当たり前に知ってる人なの…かな?

でも莉央ちゃんは知らないみたい…?

「で、そいつがどうしたのよ」

淡々と莉央ちゃんがそう尋ねる

確かに気になっちゃうよね…

「今日見かけた人がめっちゃ居るの!
見かけるだけで奇跡なんだから!」

そ、そんな幻みたいな存在なんだ…その人…。

「琴音は男なんかに興味ないの!
ほら琴音、行こ!」

「う、うんっ…」

「あーもー!
もっと興味持ってったらー!」

あはは…

後ろから聞こえる女の子の声を聞きながら、私は莉央ちゃんに連れられ席に座った。

「ねね。
琴音、今日放課後遊びに行かない?」

「あっ…」

恋愛小説の内容…まだ決まってないんだよね…。

でも、莉央ちゃんと遊んだらいいアイデアが浮かぶかもしれない…

よしっ

「うんっいい─…」

「「「きゃぁぁぁぁっ!」」」

ビクッ

廊下から黄色い声援が飛び交う

それも今までの比では無いほどの大きな声で。

な、何事っ…?

「もーっ!何よ、うるさっ…!」

莉央ちゃんも驚いたのか、両手で耳を塞いでいた。

なにかあったのかな?

そう思って、視線を莉央ちゃんから廊下に向けようと顔を上げた時だった

「…羽澄琴音。いるか」

「えっ?」

その言葉が聞こえた瞬間、教室の空気が変わった

頭上から聞こえる声に、思わず顔を上げる

そこには、綺麗な顔立ちをした男の子が立っていた

今…私の事…呼んでた…?

するとクラス中の視線が私に集まるのを感じる

「っ!」

やだ。

怖い。

お願い…っ

早く…どこかに行ってっ…!

私はスカートを握りしめた

そんな私の様子に気が付くこともなく、彼は口を開いた

「これ、お前のだろ?」

「─っ!」

彼が胸元のポケットから取り出したのは、私のネタ帳だった。

…ど、うして…!

急いでポケットや、ブレザーの内ポケット等を確認しても、ネタ帳は入っていなかった。

ないっ…!

血の気が引いていく感覚が分かる。

そうだ。

莉央ちゃん達にはっ…!

彼の大きな体でネタ帳を隠して、私だけに見える状態になっている。

ひとまずよかった…

すると彼の顔がぐんっ と近づく

「っひゃっ…!」

驚きつつも、彼は小さな声で私の耳元で呟いた。

「─今日の放課後、この紙に書いてある場所に来い。
そしたらこのノートを返してやる。
もし来なかったら…


─お前の秘密をバラす」

「!」

な、かみ…見たの…?

どうしよう。

もしまた…馬鹿にされたりしたら…。

私、は…

私はそこで息を吸い、頭を整理して口を開いた

「…分かり、ました…。」

きっと私には…この選択しかない。

「待ってるからな」

そう言って、ノートを元の場所にしまい直し、彼は去っていった。

「なんなのよアイツ…。
ねえ、琴音。大丈夫?」

「あ、うんっ…。
あとね、莉央ちゃんごめんっ…!
今日、用事あったの思い出して…ごめんねっ」

嘘は心苦しいけど…莉央ちゃんを巻き込みたくない。

「そっか。
じゃあまた今度遊ぼ!」

「ありがとう、莉央ちゃんっ…!」

優しいなぁ…

ありがとう、莉央ちゃん。

ひとまず、放課後だ。

絶対に返してもらわないと…っ!

私は心の中で1人、決意を固めた