溺愛王子と秘密の同居

 玲央に手首を引かれたまま、わたしは半ば引きずられるみたいに廊下を歩いていた。

「れ、玲央、待って……!」

「待たない」

「でも、お昼――」

「そんなのあとでいい」

 低い声。
 怒ってる。
 はっきりそうわかるくらい、玲央の背中からぴりぴりした空気が伝わってきた。

 どうしよう。
 るいにほっぺにキスされたこと、やっぱり怒ってるんだ。
 いやでも、怒るってなんで?
 意味がわからない。
 わからないのに、心臓だけはどんどんうるさくなる。

 玲央はそのまま、人気のない階段横の踊り場まで来ると、ようやく足を止めた。

「っ」

 急に止まったせいで、わたしは玲央の背中にぶつかりそうになる。
 あわてて一歩下がろうとした瞬間、くるりと振り向いた玲央に腕を引かれた。

「ひゃ……!」

 気づけばまた、壁際に追いこまれていた。