溺愛王子と秘密の同居

「ただ、俺だって欲しかっただけ」

 そのひとことに、心臓がまた跳ねる。

 え。
 欲しかったって、なにを。
 ……いや、たぶん聞かないほうがいい。

 玲央は少しだけ目を細めて、それからわたしの手首をそっと引いた。

「行くぞ」

「れ、玲央……」

「昼、食うんだろ」

 ぶっきらぼうなのに、手は強くない。
 逃がさないみたいに引くくせに、痛くないその力加減がずるい。

 るいはそんなわたしたちを見て、ふっと笑った。

「……今度は俺にも、ちゃんとりんくんの時間ちょうだいね」

「るい……」

「じゃないと、次はほっぺだけじゃすまないかも」

「っ!?」

 一気に真っ赤になるわたしの横で、玲央の空気がぴりっと冷える。

「るい」

「冗談だよ」

 そう言って、るいはひらひらと手を振った。
 でもその笑顔は、冗談だけじゃない気がして、わたしはますます心臓が落ち着かなくなる。

 こうしてわたしのお昼休みは、朝以上にとんでもないことになっていくのだった。