溺愛王子サマ達と秘密の同居

「今日からこのクラスに入る夢咲鈴くんだ。みんな仲良くするように」

 先生にうながされて、わたしは黒板の前に立つ。

「ゆ、夢咲鈴です……よろしくお願いします」

 できるだけ低めの声を意識したつもりだけど、自信は全然ない。
 教室のあちこちからまたざわざわ声が上がる。

「かわい……」

「声まできれい……」

「やばくない?」

 やばいのはわたしのほうです。
 お願いだから、そんなに見ないで……!

 するとそのとき、教室の後ろのほうから聞き慣れた声がした。

「おい、おまえら」

 はっとして顔を上げる。

 いつのまに来たのか、扉のところに玲央が立っていた。
 腕を組んだまま、教室中を見渡している。

「じろじろ見すぎ」

「皇くん!?」

 クラスの空気がさらにざわつく。
 当然だよね、別クラスの超有名人が急に入ってきたんだから。

 でも玲央はそんなこと気にする様子もなく、まっすぐわたしを見る。

「こいつ、朝から緊張してんだからあんま騒ぐな」

「……っ」

 一瞬、息が止まる。
 なにそれ。
 そんな言い方されたら、余計に目立つんだけど!

 でも、教室の空気は少しだけやわらいだ。

「え、皇くん知り合い?」

「新入生守ってる感じ……?」

「なにそれやばい」

 やばいのはほんとにそう。

 わたしは真っ赤になりながら、玲央をにらむみたいに見た。
 すると玲央は、ほんの少しだけ口元を上げる。

「じゃ、よろしくな。りん」

 それだけ言って去っていく背中に、教室中のざわめきが集まる。
 そしてわたしは、その場で立ち尽くした。

 ……これ、初日からかなり前途多難では?