溺愛王子サマ達と秘密の同居

「返事」

「……は、はい」

「はい、じゃなくて」

 玲央が意地悪そうに目を細める。

「わかった、だろ」

「……わかった」

 小さく答えると、玲央はようやく満足したみたいに壁から手を離した。

 ふっと空気が動いて、やっと息ができる。
 なのに、近かった熱だけがまだその場に残っている気がして、胸が落ち着かない。

 玲央はくるっと背を向けて、何でもなかったみたいに歩き出した。

「部屋入れ」

「え?」

「顔、真っ赤」

「っ……!」

 思わず両手で頬を押さえると、玲央は肩越しにちらっと笑う。

「それ以上その顔してると、さすがに俺でもやばい」

「な……っ!?」

「じゃ、おやすみ」

 さらっととんでもないことを残して、玲央は今度こそ行ってしまった。

 ひとり廊下に残されたわたしは、しばらくその場から動けなかった。

「……なにあれ」

 意味わかんない。
 ほんとに意味わかんない。

 でも、壁ドンされた感覚も、近すぎた距離も、最後の言葉も、全部が頭から離れなくて。

 その夜わたしは、ベッドに入ってからもずっと、玲央のことを思い出してしまうのだった。