冷遇令嬢ですが、前世の知識と先見の力で運命の王第殿下と新しい国を作ります。

そんな宰相がある夜、護衛騎士も連れずやってきた。

そして深刻な顔でジャスミンに二人だけで話があると切り出したのだ。

ジャスミンはマリアにお茶だけ出したら下がるように言いつけて、応接間で宰相と向かい合った。

日付も変わる頃、宰相は帰っていった。

馬車も少し離れたところに待たせてあると言って念入りにも裏口から庭を通って帰っていったのだ。

ジャスミンはその三日後カフェの店もカレーの店も休みの日にフレデイを呼び出して二人で応接間で話をした。

「フレデイ、この話はフレデイの胸の中だけにとどめてほしいのだけれど、あなたにまた大変な心労を掛けることになって申し訳ないけれど、この家で私の代わりができるのはフレデイだけだから」

「ジャスミンお嬢様の代わりなんて誰にもできませんよ。何を言っているんですか」

「でもやってもらわないといけないの。実はマキシミリアン様を隣国にやって難しい交渉を条件に国王が私との結婚を許すと仰ってマキシミリアン様は何とかその条件を満たす為に隣国に外交団と共に行かれたんだけど、それは知っているわね」

「はい、聞いています」

「先日の晩に宰相様がお忍びでお越しになったの、国王陛下は何があっても私との結婚はお許しになるつもりはないそうなの。マキシム様が隣国に居る間に私を殺してしまうおつもりのようなの」

「はあっ、なんですって」

大声を上げ立ち上がったフレデイに”静かに“と言って座らせた。

「宰相様が国王陛下に相談されたそうなのよ。いつ頃どのように亡き者にするのがマキシミリアン様にわからないかと…」

「くそっ、人の命をなんだと思っているんだ。それでもこの国の国王なのか」

フレデイの憤りはもっともだ、ジャスミン自身も納得のいく話ではない。

「それで宰相様が命を取ってしまうのは惡手だとこの国を出て行ってもらうのが一番いいのではと言って下さったらしいの」

「どっちも同じじゃないですか」

「あら殺されるよりはいいわよ。国王陛下はあの女がそれをすんなり聞き分けるかと言ったらしく、それなら家族を人質にとればいいと言ったそうなの。この国を一人で出て行って家族には二度と連絡しない事行く先も絶対に告げない事そういう条件で国外退去を命じればいいのだと国王陛下を説得なさったそうよ」

「何だと、俺たちを馬鹿にしているのか、その宰相も国王もジャスミンお嬢様がこの国を出られるならみんな一緒に行きますよ」

「それはダメよ。サラとデイビスは新婚さんでカレーの店がうまく回りだしたところだし、デイジーはシリアス様の奥様なのよ。フレデイとリリーにはすぐに結婚してもらわないといけないし」

「はあっ?だれがだれと?」

「あなたとリリーよ。好きあってるのはもうみんなにバレバレよ。リリーは気が強くて頑固だから自分からは絶対に言わないしフレデイは私に遠慮してるでしょう?私はリリーがフレデイと一緒になってくれたらこんなに嬉しい事はないのよ」

真赤になったフレデイは

「そんなことできません。リリーは私がお仕えするジャスミン様の妹なのですから」

「もうフレデイったら、領地を出た時からベス家とは縁を切っているのだからお仕えするも何もないのよ。フレデイだってベス家の護衛は辞職したでしょう」

「でもジャスミン様はいつまでも私の仕える主(あるじ)です」

「もうだったら、主からの命令よ。すぐにリリーに結婚を申し込んできなさい。喜んで受けてくれるわ。さあ、早く行ってきてリリーがOKしたらもう一度戻って来てここから大事な話なのだからね」