冷遇令嬢ですが、前世の知識と先見の力で運命の王第殿下と新しい国を作ります。

十歳の時に母親を亡くし父親が一人で大切に育ててくれた。

そんなバネストン氏にシシリーはとても感謝しているので、ぜひその気持ちを手紙にして皆の前で読み上げようとジャネットが進めたのだ。

その目論見は大成功で参列者のほとんどの人はハンカチで目元を拭っていた。

シシリーは涙で詰まりながらも最後まできちんと読み上げた。

バネストン氏は涙を流して聞いていた。

だが、ここでもキンバリーが父親よりも号泣しだして,お蔭で皆の涙も引っ込んだのだった。

ほんとに新郎ってこんなに泣くものなんだと、ジャスミンは呆れてしまった。

新婚旅行に旅立つ時間になり、玄関に回された馬車を見てシシリーもキンバリーも固まっていたがキンバリーの学友たちが“すごいなあ、これは今日一番のサプライズだ“と言って拍手していた。

シシリーは「ジャスミン!」と言って睨んできたが、

「街ゆく人皆に祝ってもらってね」

と言ってにっこり笑うと観念した様だ。

騎士のように正装した御者もケニーの小さな御者も大人気だった。

二人が唖然としていると花馬車の後方に止まっていた馬車から十代の可愛い女の子が下りて来てキンバリーに抱き着いた。

「お兄様おめでとう。お母様と二人でお庭での結婚式もちゃんと見たからね」

「ええっ」

そう言ってキンバリーがその馬車を見るとハンカチで目元を抑えた夫人が窓からキンバリーに手を振っている。

「母上… ジュリありがとう。母上にもお礼を言って置いてくれるか?」

「うん、わかった。一週間位前にジャスミンさんが家に尋ねて来て下さって、二人の結婚式の事を教えて下さったの。そしてお庭での結婚式だからここに止めるとよく見えますと言って、馬車を止めるところも教えて下さったのよ」

「まあ、~ジャスミンありがとう」

「でも、お兄様ったらあんなに泣いて恥かしいったらないわ。お母様も泣き笑いされてたわよ」

そう言われてキンバリーは「面目ない」と言って頭をかいていた。

「シシリーお姉さま、こんなお兄様ですけどどうぞよろしくお願いします。って母上が言ってます」

二人は涙ぐみながらキンバリーの妹ジュリとお母様に頭を下げていた。