俺様で冷徹なハイスペック医師は ツンデレで不器用で激甘な素顔を隠せない

「かしこまりました!」

​看護師が手際よく服薬介助を行う。

律は葵がむせることなくスムーズに薬を飲み終えるのを、腕を組んだまま厳しい眼光で見届けた。

​律は看護師がトレイを持って退出すると、静かに葵のベッド脇へ歩み寄った。

​「……嚥下(えんげ)時の胸圧上昇や、喉の引っかかりはないな」

​「はい、律先生。ゼリーのおかげで、すごく滑らかに飲めました。……看護師さんたちに、細かく指示を出してくれたんですね」

​律は葵が感謝を込めて微笑むと、不機嫌そうに眉根を寄せ、手元のカルテに視線を落とした。

​「勘違いするな。術後心筋の負担を減らすため、誤嚥による反射性咳嗽(むせ込み)を予防しているに過ぎん。主治医として当たり前の管理だ」

​「……はい。いつも守ってもらって、ありがとうございます」

​「……余計な口を叩かずに、静養しろ」

​口では淡々と冷徹な理屈を並べながらも、葵の体調を完璧にコントロールし、一切の苦痛を与えまいとする不器用でストイックだ。

​葵はその温かい執着を胸の奥で噛み締めた。