俺様で冷徹なハイスペック医師は ツンデレで不器用で激甘な素顔を隠せない

担当看護師は頭を下げた。

「は、はいっ! 大変申し訳ありませんでした」

​律の氷のように鋭い声と威圧感に、若手医師たちも看護師も縮み上がり、息をのんで静まり返った。

葵は大部屋でも患者たちが「あの先生、相変わらず凄まじいわね……」と怯えたように視線を泳がせていると聞いた。

​律はカルテから目線を上げると、ベッドの上の葵を静かに見つめた。

「……葵。胸部の不快感や、呼吸の違和感は一切ないな」

​葵はまっすぐな瞳で淀みなく答えた。

「はい、律先生。不快感も息苦しさもありません。今朝もとても調子が良いです」

​律は微かに眼光の鋭さを和らげ、低く短く息をついた。

「……ならいい。だが、病室に移ったからと言って無理に周囲に合わせる必要はない。少しでも異変を感じたら直ちにナースコールを押せ」

​葵は微笑んで頷いた。

「ふふ、はい。ありがとうございます、律先生」

​冷徹な指示の裏にある、自分に対する絶対的な注視と保護の意志。

葵は不器用なまでにストイックな主治医の姿に、胸の奥で静かに微笑んだ。