俺様で冷徹なハイスペック医師は ツンデレで不器用で激甘な素顔を隠せない

葵が息を整えながら身体を起こそうとした。

その時、律は無言で歩み寄ると、白衣の袖を軽くまくり上げ、理学療法士の手を制した。

​「待て。胸骨の固定を俺が触診で保護する」

​律は長くて確かな指先を葵の胸元にそっと当て、痛みを逃がす正確な位置に圧をかけた。

そのまま、もう1方の手で葵の背中を支え、寸分の狂いもない力加減で彼女の身体を起こす。

​「……あ」

​足が床につき、視界が高くなる。

葵が久しぶりに身体を起こした浮遊感と、傷口の微かな痛みに身をすくめると、律の低く滑らかな声が降ってきた。

​「無理に息を止めるな。ゆっくり吐け」

​「……はい、先生……っ」

​「血圧108の68、自脈76! バイタル極めて安定しています!」

​山下の歓声が上がる。

律は葵の胸元から手を離さず、葵の起立姿勢をその身で完璧にサポートしていた。

​