俺様で冷徹なハイスペック医師は ツンデレで不器用で激甘な素顔を隠せない

葵の乾いた唇と口内を、そっと撫でるように滑らせた。

指先から、繊細極まりない手つきが伝わる。

​「どうだ。少しは潤ったか」

​「……はい、楽になりました。律先生の手、本当に温かいですね」

​葵が目を細めて微笑む。

律は一瞬だけ言葉を詰まらせた。

不機嫌そうに、切れ長の眸を逸らす。

​「余計なことを言うな。お前に1滴でも無駄な水を飲ませないための、最低限の処置だ。……喉の渇きを我慢してストレスを溜めるなと言っただろう。喉が渇いたら、俺を呼べばいい」

​「律先生は執刀や外来で忙しいのに、そんなことで呼べません……」

​「お前の管理より優先される仕事など、この俺には存在しない」

​律はそのまま、葵の頬にそっと手のひらを添えた。

葵が落ち着くまで、その場を離れようとはしなかった。