俺様で冷徹なハイスペック医師は ツンデレで不器用で激甘な素顔を隠せない

「……葵。管を抜く際に胸郭に多少の圧迫感と違和感があるが、すぐに終わる。息を吸って……吐け。そうだ、そのまま力を抜け」

​「はい……」

刺入部が巾着縫合(巾着状にあらかじめかけておいた糸)で手際よく結紮・閉鎖される一瞬の違和感。

葵は身をすくめた。

律は「上手だ」と、周囲には決して見せない柔らかい声で語りかけた。

ドレーンが抜去された。

あっという間に無菌ガーゼとドレッシング材で保護を完了させた。

​律は傷口の処置を終えると、安堵したように小さく息をつき、葵の頭をそっと撫でた。

​「これで体内に入っていたドレーンはすべて外れた。……よく頑張った、葵」

​「律先生……ありがとうございます。……あの、私、一般病棟に移らなくても大丈夫なんですか?  さっき廊下で、看護師さんが困っている声が聞こえて……」