俺様で冷徹なハイスペック医師は ツンデレで不器用で激甘な素顔を隠せない

白衣のポケットに両手を突っ込んだまま、冷やかな黒の眸で画面を一瞥する。

​「遅い」

​「えっ……」

​「指示を出したのは13時だ。現在の時刻は13時22分。僅か20分遅れと思うかもしれない。だが一ノ瀬の心不全コントロールにおいて、利尿剤投与後の排尿ペースと血中薬物濃度の上昇曲線には微小なズレが生じる。何ゆえ予定時刻通りに投与を開始しなかった?」

律の追及は、立ち尽くす看護師に対し一切の手加減がなかった。

律の刃のように研ぎ澄まされた声が、冷たい廊下に響き渡った。

​「他病棟の緊急対応が入っておりまして……」

​「担当患者の優先順位判断が破綻している。一ノ瀬の心機能で排尿が滞れば、あっという間に胸水が溜まって肺水腫へ移行する。引き継ぎデータが頭に入っていないのか?  今すぐ前時間の蓄尿データと現在の自脈の乖離を再計算しろ。5分後、カンファレンスルームで確認する」