俺様で冷徹なハイスペック医師は ツンデレで不器用で激甘な素顔を隠せない

​葵は小さく微笑んだ。

病室は律の手によって、不器用ながらも細やかに整えられており、静けさに包まれている。

​律の冷酷な仮面の下には、あまりにも不器用で行き届いた過保護があった。

その甘さに触れるたび、葵の胸は今まで感じたことのない熱を帯びていく。

​だが、律には別の顔があった。

「一ノ瀬葵の主治医」ではなく、「御堂記念総合病院の第一外科を率いる天才医師」として看護師たちと接する姿だ。

それは、やはり恐ろしいほどに冷徹で容赦がなかった。

​出来事は、午後のバイタルチェックの直後に起きた。

場所はナースステーション側の廊下だ。


​「御堂先生! 一ノ瀬さんの昼の点滴処置、完了いたしました」

​入職2年目の若手看護師が駆け寄ってきた。

若手看護師は手に持った端末を差し出し、少し緊張した面持ちで報告を入れた。

​律は歩みを止めようともしなかった。