俺様で冷徹なハイスペック医師は ツンデレで不器用で激甘な素顔を隠せない

律の思いがけない言葉に、葵は息を飲んだ。

「そのガキは、自分の体調も良くないくせに、俺の手を握ってこう言ったんだ。『お医者様の手ってあたたかい。きっとたくさんの人を救ってきた手なんですね』とな」

​「……あ……」

​途切れ途切れの記憶の底から、かすかな温もりが蘇ってくる。

葵は当時17歳で通院中だった。

雨の中で立ち尽くしていた若い医師に声をかけたことがあった。

​「その言葉と温もりがあったから、俺は折れずにここまで駆け上がってこられた。……あの手と、あの言葉に救われたんだ」

​律は葵の指に律の指を絡め、葵をじっと見つめた。


​「俺の手をあたたかいと言ったのは、後にも先にもお前だけだ、葵。……お前が俺を名医にしたんだ。だから、俺がお前を諦めるわけがないだろう」

​律が見せるツンと尖った態度の裏には、5年越しのあまりにも深く狂おしい執着があった。