律はどこまでもツンとした言い草を崩さなかった。 けれど葵は、彼が忙しい仕事の合間にわざわざ書店へ寄り、この本を選んでくれたのだと気づいていた。 本を通して、律の手の温もりが伝わってくる。 「……ありがとうございます」 律は葵が小さく笑うと、フッと目を逸らし、窓の外へ視線を投げた。 葵の胸は、律が冷酷な仮面の下に隠している不器用で行き届いた過保護さに触れるたび、今まで感じたことのない熱を帯びていった。