心臓病治療センターのプロジェクトが始まって、二か月ほどが経った。
その頃には、私と宗形先生の仕事上の距離もかなり近くなっていた。
会議では遠慮なく意見をぶつける。
資料の数字に間違いがあれば、互いに指摘する。
それでも、仕事が終われば何事もなかったように話せる。
そんな関係が、私は心地よかった。
「仲山さん」
夕方、廊下を歩いていると、後ろから声をかけられた。
「高瀬先生」
「今、帰り?」
「はい」
「じゃあ、飯行かない?」
「急ですね」
私は肩をすくめる。
「前に話してた店、覚えてる?」
「駅前の?」
「そう。あそこ、予約取れたんだ」
なかなか予約が取れないことで有名なのに……。
スタッフたちがそう噂していたのを思い出した。
「仲山さん、甘いもの好きって言ってたから。デザートが有名らしい」
デザート!



