冷静な天才外科医の弱点は、私でした




 新センターの立ち上げが本格化するにつれ、宗形先生の忙しさは増していった。

 プロジェクトの会議にスタッフとの調整、新しい設備の選定や海外の医療機関との打ち合わせ。

 そして、本業である手術。

 私は何度も思った。


 ――この人、いつ寝ているんだろう。


 そんな心配をよそに、本人はいたって平然としている。


「宗形先生、来週のスケジュールですが」

「はい」

「この日、センターの会議と手術が重なっています」

「会議は変更しましょう」

「でも、そのあと海外とのオンライン会議も」

「それは予定どおりで」

「先生、休みは?」

「あります」

「いつですか?」


 宗形先生が視線を逸らした。

 私は逃がさないとばかりにじっと見る。


「先生?」

「日曜日です」

「それ、休みですか?」

「休みでしょう」

「予定が入っていないだけじゃなくて?」