冷静な天才外科医の弱点は、私でした




 私は資料をまとめながら、大きく息を吐いた。


「ひかる、これ」


 隣から千春が声をかけてくる。


「議事録の下書き。今日出た修正点も入れておいたから、明日の朝に確認して」

「ありがとう。助かる」

「あと、予算の過去データは私が拾っておくね」

「ごめん、お願いしていい?」

「もちろん」


 千春は自分のパソコンを閉じた。


「じゃあ、私は先に戻る。明日の会議、朝一で資料合わせるから」

「うん。私もあと少し整理したら戻る」

「了解」


 千春はそう言って、資料の束を抱えた。


「じゃ、お疲れ」

「お疲れさま」


 会議室の扉が閉まる。

 空調の音しか聞こえなくなって、真っ白な会議室がやたら広く感じる。

 さっきまでの白熱した空気が嘘みたいだ。

 私は余韻を感じながら、残った資料を一枚ずつ確認した。

 設備費に人件費、補助金や近隣病院との連携。