最強ヴァンパイアに溺愛されています!

その日一日、美月は何度もルカの視線を感じた。
遠くにいても、近くにいても、すぐ見つけてくれる。
休み時間には当然みたいに迎えに来るし、昼も放課後も隣にいるのが自然になっていく。

昨日までのじれったさも、片想いみたいな苦しさも、もうない。
その代わりにあるのは、胸がいっぱいになるような幸せだった。

放課後。
教室を出る前に、ルカがそっと美月の手を取る。

「帰るぞ」

「うん」

迷いなく返事ができる。
そのことが嬉しかった。

扉へ向かいながら、ふとルカがこちらを見る。

「美月」

「なに?」

「好きだ」

あまりにもさらっと言うから、心臓が止まりそうになる。

「い、いきなり……」

「思った時に言うことにした」

「そんなのずるいよ……」

「お前も言えばいい」

真顔で返されて、美月は困ってしまう。
でも、少しだけ勇気を出してルカを見上げた。

「……私も好き」

その瞬間、ルカの表情がふっとやわらぐ。

「知ってる」

「もう……」

照れて俯くと、つないだ手がやさしく握り返された。

吸血鬼の彼と出会って、振り回されて、どきどきして、甘すぎる独占に困って。
でも気づけば、その全部が愛しくなっていた。

これから先もきっと、ルカは変わらず独占欲が強くて、甘くて、ずるい。
そして美月は、そのたびにまた赤くなってしまうのだろう。

それでもいいと思える。
隣で手をつないで歩くこの人となら、きっと毎日が特別になるから。

朝から恋人すぎて、もう隠せない。
そんな幸せな秘密を抱えたまま、ふたりは夕暮れの廊下を並んで歩いていった。

おしまい