最強ヴァンパイアに溺愛されています!

連れて行かれたのは、前にも来たことのある旧校舎の空き教室だった。
夕暮れの名残が薄れて、室内は淡い夜の色に包まれている。

扉が閉まる音がした瞬間、美月の心臓が跳ねた。

静かだ。
ふたりきりだ。
そして今日は、昨日と違う。

恋人としてここにいる。
そう思うだけで、足元が少しふわふわする。

「緊張してるな」

ルカが近づきながら言う。

「だ、だって……」

「分かってる」

その声が思ったよりやさしくて、少しだけ肩の力が抜ける。

ルカは美月のすぐ前で足を止めると、そっと頬に手を添えた。
親指が、熱を確かめるみたいに頬をなぞる。

「昨日、お前が俺の恋人になった」

低く甘い声。
その言葉だけで胸がいっぱいになる。

「……うん」

「だから今日は、ちゃんと形にしたい」

形にする。
その意味をたずねる前に、ルカの瞳がわずかに細められる。

「お前を誰にも渡したくない」

真っ直ぐな独占欲。
隠しもしないその想いに、どきりとする。

「ルカくん……」

「分かってる。無理やりはしない」

そう言ってから、ルカは少しだけ額を寄せた。

「でも欲しい」

そのひと言が、胸の奥に熱く落ちる。