最強ヴァンパイアに溺愛されています!

夕陽が塀の影を長く落としている。
遠くで鳥の声がして、近くにはふたりの呼吸しかない。

こんなふうに静かな場所で向き合うと、さっきまで以上に緊張してしまう。
手はまだつながったまま。
そのぬくもりが、逃げるのを許してくれないみたいだった。

「今日」

ルカがぽつりと口を開く。

「ちゃんと、俺を選んだだろ」

昼休みのあと、教室でみんなに見られながら言ってしまった言葉を思い出して、美月の頬が熱くなる。

「……うん」

「嬉しかった」

ルカはそれだけ言って、少しだけ目を伏せた。
強くて余裕があるように見えるのに、こうして素直に言われるとずるい。

「でも同時に、足りなかった」

「え……」

「お前が俺と帰りたいって言ったのに、それだけで満足できなかった」

ゆっくりと視線が重なる。
その目があまりにも真っ直ぐで、美月は息をのみこんだ。

「もっとほしいって思った」

低く落ちる声が甘すぎて、くらくらする。

「る、ルカくん……」

「名前呼ぶな」

「えっ」

「そんな顔で呼ばれると、止まれなくなる」

思わず黙りこむと、ルカが小さく息をつく。

「……ごめん。困らせたいわけじゃない」

そう言いながら、つないでいないほうの手がそっと美月の髪に触れる。
やさしく頬の横へ流して、耳にかけるだけ。
それだけなのに、心臓が壊れそうなくらい鳴ってしまう。