最強ヴァンパイアに溺愛されています!

席替えが終わったあとの教室は、まだ少しだけざわついていた。
新しい席に座った白雪美月は、机の端をそっと指でなぞりながら小さく息をつく。

ルカくん、遠いな。

見えないわけじゃない。
教室のいちばん後ろ、窓際。
そこに座る九条ルカの姿はちゃんと見える。
でも今までみたいに、すぐ隣に気配を感じられないだけで、こんなに落ち着かないなんて思わなかった。

「白雪さん」

やわらかな声に顔を上げると、通路を挟んだ隣の一ノ瀬玲が微笑んでいた。

「大丈夫? 少し元気がないように見えるけど」

「えっ、そんなことないよ」

慌てて笑うと、玲はふっと目を細めた。

「ならいいけど。困ったことがあったらすぐ言って」

「ありがとう、玲先輩」

やさしい言葉に少しほっとしていると、前の席からくるっと振り返った如月奏多が机に頬を乗せる。

「美月先輩、次の授業つまんなかったらこっそりメモ回してくださいね」

「だめだよ」

「えー、じゃあ授業終わったら話してください」

「それはいいよ」

そう返すと、奏多がぱっと顔を明るくした。
その素直さに思わず笑ってしまった時だった。