最強ヴァンパイアに溺愛されています!

一ノ瀬玲が入ってきたのだ。

「おはよう、白雪さん」

朝の光の中でもきれいに整った笑顔。
玲は教室全体を見渡してから、すぐに美月たちのところへ歩いてきた。

「ずいぶん注目を集めているね」

「一ノ瀬先輩……」

「まあ、無理もないか」

玲はやわらかく微笑んで、美月の髪にそっと目を向ける。

「少し乱れてるよ」

そう言うと、指先で軽く髪を整えてくれた。
ほんの短い仕草なのに、距離が近くて美月はどきっとする。

「はい。これで大丈夫」

「ぁ……ありがとうございます」

お礼を言うと、玲は満足そうに笑った。
けれどその直後、ルカの視線が一気に冷える。

「勝手に触るな」

「整えてあげただけだよ」

「それが余計だ」

「ふふ。嫉妬深いね」

玲はまったく動じない。
むしろ楽しんでいるようにさえ見える。

そんな緊張感の中、静かな足音が近づく。
神楽冬真だった。

何も言わずに美月の机の横へ来ると、彼は無言で椅子を少し引いた。
美月が座りやすいようにしてくれたのだと気づくのに数秒かかる。

「あ……ありがとう、冬真くん」

「別に」

短く返す冬真。
でも視線は少しだけそらされていて、照れているのが分かる。

「冬真くん、やさしいね」

そのひと言で、冬真の動きが止まる。

「……そういうこと、簡単に言うな」

ぼそっとつぶやいて、自分の席へ戻っていく背中が少し早い。
その反応に、美月は思わず小さく笑ってしまった。

「えー、冬真くんだけ特別に褒められてる」

奏多がすぐに拗ねる。

「美月先輩、俺にもなんかください」

「なんかって……」

「じゃあ朝の挨拶、もう一回」

「そんなの?」

「大事です」

真顔で言われて、美月はくすっと笑う。

「おはよう、奏多くん」

「はい、元気出ました」

ぱあっと顔を輝かせる奏多に、教室のあちこちから笑いがもれる。
ぴりついていた空気が少しやわらいだ。

「じゃあ俺も」

夜斗が机に肘をつきながら言う。

「転校生ちゃん、おはようってちゃんと俺にも言ってよ」

「えっ、もう言った気が……」

「気がしただけだろ」

ずるい言い方に、美月は困りつつも口を開く。

「おはよう、夜斗くん」

「ん、よくできました」

満足そうに笑われて、また頬が熱くなる。