最強ヴァンパイアに溺愛されています!

「必要ない」

ぴしゃりと切ったのはルカだった。
ルカは美月の髪に、昼の風でついた小さな花びらを見つけると、そっと指先で取る。

その仕草があまりに自然で、やさしくて、胸がきゅっとなる。

「放課後は俺と来い」

「る、ルカくん……」

「昨日の続きもある」

そのひと言に、美月の顔が一気に熱くなる。
続き。
その言葉だけで、昨夜の旧校舎での出来事が鮮やかによみがえってしまう。

「え、何それ」

夜斗がすぐに食いついた。

「九条、お前だけ話進みすぎじゃない?」

「秘密が多いのは感心しないな」

玲の笑みが静かに深くなる。

「美月先輩、俺にも教えてくださいよ」

奏多がむっと唇を尖らせる。

冬真は何も言わなかった。
けれど美月の表情を見て、何かを察したようにルカへ視線を向ける。

四人の視線を受けても、ルカはまるで動じない。
それどころか、美月の肩を引き寄せて、自分のほうへわずかに近づけた。

「こいつは俺が守る」

低く、はっきりとした声。

「だから、お前らは手を出すな」

その瞬間、心臓が大きく跳ねた。
囲まれて、見つめられて、甘くされて。
こんな昼休み、知らない。

でもいちばん強く胸に残るのは、やっぱりルカの腕のぬくもりだった。

この学園で過ごす毎日は、きっともう普通には戻れない。
そう思うのに、不思議と嫌ではなかった。

むしろ少しだけ、続きを知りたいと思ってしまう。
最強ヴァンパイアに目をつけられた、その先を。