元カレ弁護士の恋事情

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 そんなこんなで、久我さんは証拠を集めるためだと、会社ではピッタリと私についてくる。
 カフェスペースで話し合おうと提案したはいいものの、やっぱり周りの視線が気になってしまう。
 飲み物を買いに来る社員もいるし、昼休みにはそれなりに人が集まる。
 そのたびに、ちらちらとこちらを見られている気がして落ち着かない。
 でも部署だと盗作疑惑で質問攻めにされそうだったし、会議室も空いてなかったから……!
 周りにとっては、彼は「スーツ姿のイケメン弁護士」かもしれないけれど、私にとってはさらに「元カレ」がついてしまうのよ。意識しない方が無理でしょう。
 けれども、久我さんはそんな私の気も知らずに、真剣に私の操作するパソコンの画面に注目している。私だけが空回りしているようで、途端に恥ずかしくなった。
 
 証拠と言っても、私のデザインデータは、このノートパソコンに入っているものがすべてで。ノートパソコンは会社支給のもので、システムもすべて社内で管理されているため、ハッキングなどの痕跡があればシステム部に問い合わせればすぐにわかる。
 それを説明すると、久我さんは顎に手を当てて考え込んだ。
 
「このパソコンを、外部に持ち出したことは?」
「もちろん、家でやるときは持ち出しますけど……」
 
 デザインの仕事は、会社だけで終わらないこともある。
 締め切りが迫っていれば、家に持ち帰って作業することも珍しくなかった。
 
「なあ、それ、やめない?」
「……え?」
「敬語」

 一瞬だけ、彼の真剣な顔が崩れて穏やかになった。
 なんだ、初対面を装っていたわけじゃないのか。
 
「でも、仕事中だし」