元カレ弁護士の恋事情

 その後、久我さんを交えて今後の対策を話し合った。

「とりあえずは『調査中』と声明を出すが、世間では騒がれるだろう」

 社長が言うと、周りの上司たちも深く頷いた。
 会社としては当然の対応なのだろう。
 疑惑が出てしまった以上、何もしないわけにはいかない。
 でも、それで私の疑いが晴れるわけではない。
 重く沈んだ心に追い討ちをかけるように、課長が口を開いた。
 
「大谷さん、しばらくは社内コンペを自粛してもらえるかな……?」
「そんな……」
 
 責めるような口調ではなかったけれど、それでも上司命令とあれば承知しなければならない。
 うちの会社では、商品の顔ともいえるパッケージのデザインを、社内コンペで決めている。
 数人でチームを組み、それぞれのチームがデザイン案を持ち寄って、会議で採用するものを決定するのだ。つまり、私がコンペに参加できなくなれば、チームを組み直すか、チームごと参加を見送ることになる。
 
 次のコンペに向けて、すでにデザインを進めているものもあった。
 まだ形にもなっていないし、今回の件とは何の関係もない。
 それなのに、私のせいでチームのみんなに迷惑をかけてしまうかもしれない。
 疑惑が晴れるまで、私は前に進むこともできない。
 悔しさと不安で、唇を噛みしめた。
 
「お待ちください」
 
 久我さんだった。
 会議室の空気が一瞬で変わった気がした。