元カレ弁護士の恋事情

 午後、久我さんの手筈のおかげで、カネモトフーズから資料が送られてきた。
 私たちはそれを会議室のテーブルに広げ、二人で確認することに。
 そして同時に、私も今回疑惑のかけられたパッケージの制作手順を記した資料を作成し、久我さんに見てもらう。
 お互いのラフ案は、多少の違いはあるものの、装飾の配置などが酷似している。
 なぜここまで似てしまったのか、私は盗作なんてしていない。
 けれど、それは向こうもそう思っているはず。
 向こうの言い分としては『カネモトフーズが数年前に発売した商品のパッケージを、東都ダイニングが新商品のパッケージとして模倣した』ということだ。当然、向こうが先に発売したのだから、誰が見てもそう思ってしまうだろう。
 何かが食い違っているのだ。それを証明するために、久我さんがいる。

「ちなみに、大谷さんはいつもデザインをどうやって考えているの?」

〝大谷さん〟に戻ってる。
 なんだか寂しいような、でも逆に新鮮なような気もして、心の中でクスッと笑った。
  
「ラフ案をいくつか持っていて……。パソコンに保存してあるんです。その中から組み合わせたり……」
「絵に関しては、俺は素人だから。何かこれを見てわかるかな……?」

 久我さんは、相手の資料をこちらに向けた。
 違う点と言えば、私のラフは、パソコンで直接描いたものだ。つまり、デジタルデータを印刷したものになる。対して、向こうの資料に印刷されているものは、手描きに見える。
(手描き……それとも、手描き風にパソコンで描いた……?)
 重ね合わせてみるが、微妙に位置が違ったりして完全なトレースじゃないことはわかる。
(あれ……?)