元カレ弁護士の恋事情

「あれ? そのカメ……」
「ああ、これ? かわいいでしょ?」
 私はペン立てからボールペンを取り出す。
 ちょっと得意げに見せると、川田さんはなぜか黙り込んでしまった。
「どうしたの?」
「それ、久我さんも同じもの持ってましたけど……」

 ドッキーン! うそ!?
 まさか久我さんが、職場にこんなファンシーなものを持ってくるとは思っていなかった。
 持ってくるって知ってたら、私は持ってこなかったのに……!
「あれあれあれ〜?」
 川田さんの口元が、みるみるうちに緩んでいく。
「ち、違うから、川田さん……」
「え〜? 何も言ってませんけどぉ〜?」

 そう言いながらも、川田さんはニヨニヨと意味ありげな笑みを浮かべている。
 結局、川田さんには昼休みまで揶揄われてしまい……。
 私は、これ以上誰かに言われないように、カメのボールペンはひとまず引き出しにしまっておいた。