元カレ弁護士の恋事情

 そもそも今日のデート自体、迷惑をかけたお返しで来ているのに。
 頑なに譲らずにいると、久我さんは困ったように笑った。

「じゃあ、ここはそれぞれ払うということで」

 本当は全額払いたかったけれど、これ以上押し問答をするのも申し訳ない。
 私はしぶしぶ、その提案を受け入れた。
 お会計が終わると、久我さんが自分の紙袋を軽く上げた。

「交換しないか?」
「えっ? 同じものですよ?」
「いいから」

 不思議に思いながらも、紙袋に入ったボールペンを交換する。

「これで、このボールペンは映美からのプレゼントだ」

 まるであの頃のような表情で、久我さんは嬉しそうに笑った。

「大切にする」

 そんな風に言われたら、もう何も言えない。
 中身は同じものなのに、少しだけ特別なものに思えた。