元カレ弁護士の恋事情

「だって、デートだろう?」
「そうなんですけど……」

 別れたはずなのに、心の距離を縮めてくる久我さんに、戸惑ってしまう。

「映美も、この間呼んでくれたのになぁ。〝誠治くん〟って」
「よ、呼んでません……!」

 否定するけれど、久我さんは楽しそうに笑った。

「あれ、覚えてないのか。残念だな。酔った時の映美は可愛かったなぁ」
「……! …………!!」

 顔が一気に熱くなる。
 やっぱり、私……相当なことをしてしまったのでは?

「もしかして……タクシーの他にもご迷惑を……?」

 おそるおそる訊ねると、久我さんはクスッと笑った。

「さあ……どうだったかな……?」

 どっちなの?
 聞きたいような、聞くのが怖いような。
 でもこれ以上追及する勇気もなくて、私は黙り込んだ。
 もし本当に迷惑をかけていたのなら……。
 ひょっとして、これからもデートを迫られるのだろうか?
 それは心臓が持ちそうになさそうです……。
 それ以上は怖くて聞けず、私は黙って残りの料理を口に運んだ。