元カレ弁護士の恋事情

 数年前まで、うちの営業部にいた曽根崎(そねざき)さん──。
 仕事もできて、みんなからも一目置かれていた。
 私も仕事で関わることが多く、よく話をしていたし、なんとなくウマが合った。
 けれど、告白された時は驚いた。私にとっては、あくまで仕事仲間だったから。

「ごめんなさい」

 そう言って断ると、曽根崎さんは「そっか」と一言だけ呟いて立ち去った。
 けれど、その数日後、曽根崎さんは会社を辞めた。
 私に振られて傷心したんじゃないか──なんて、当時は周囲でひそひそと囁かれていたけれど、本当のところはわからない。

「でも、良かった」
「なにが?」
「映美がそいつの告白を受けていたら、こうしてデートもできなかったかもしれないし」

 今のは……どういう意味なのだろう。
 
「あ、あの……」
「どうした?」
「なんで名前呼び……」

 久我さんは私のことを、ずっと「映美」と呼んでいる。
 付き合っていた頃は、たしかにそう呼ばれていた。でも……。