元カレ弁護士の恋事情

 休日、約束していたデートの日。
 デート日和とでも言うような、雲ひとつないいい天気だった。
 私は、久我さんの運転する車の助手席に座っている。
 車内は聞いたことのない洋楽と走行音を響かせて、目的地へ向かっている。

(こんな高級車、初めて乗った……)

 革張りのシートがふかふかで、まるでソファに座っている気分だ。
 車を運転して、弁護士になって、法律事務所の所長にまでなって……十年という時の流れを実感する。私は、高校生の久我さんしか知らない。
 知らない彼を知って、それが新鮮でもあるけれど、同時に寂しさもあった。
 
(私は……。久我さんにどう思われているのかな……)

 社会人になって、働いてはいるけれど……。
 身に覚えのない盗作疑惑をかけられて、「なにやってんだ」って思われているのかもしれない。隣でハンドルを握る久我さんの横顔を見ていると、なんだか自分だけが取り残されてしまったような気がした。