元カレ弁護士の恋事情

 今日は、気になりすぎて全然仕事に身が入らなかった。
 家に持ち帰って少しだけやろうと、ノートパソコンを鞄の中にしまった。
 エントランスを出ると、久我さんの姿があった。
 あの時のことを謝らなきゃと、小走りで駆け寄ると、久我さんの方から声をかけてきた。

「大谷さん、お疲れさまです」
「お、お疲れさまです……」
 なんだろう。ただ挨拶しただけなのに、なんだか意識してしまう。それよりも、謝らないと……!

「あのっ」「あの……」

 声が重なった。

「あ、えっと……どうぞ……」

 久我さんに優先権を渡す。

「あの……良かったら、なんだけど……」

 なんだか言いづらそうにしている。