元カレ弁護士の恋事情

「えっ!?」

 久我さんが驚いて声を上げた。でも、もう気にしていられない。
 いつもはお酒も控えめな私だけれど、薦めてくれたカクテルが美味しくて、気づいたら何杯か飲んでいた。そして──
 
「だからぁ、私は盗作なんてしてないってば」
「はいはい」
 
 よほどフラストレーションが溜まっていたのか、愚痴と空になったグラスが増えていく。
 久我さんは、苦笑しながらも、何も言わずに私の愚痴を聞いてくれている。

「ほんとに、してないんだから……。あのデザインだって、何回も何回も考えて……」
「うん」
「なのに、みんな私が盗作したみたいな顔するし……」
「うんうん」

 久我さんのお酒が全然進んでいない。じっと私の話に耳を傾けてくれている。
 昔と変わらない優しさに、つい甘えてしまいたくなる。
 ロックグラスの氷が、カランと小さな音を立てた。
 なんだか頬が熱い。頭がぼんやりしてきた。
 
「そのために俺がいるんだから」

 優しい声と共に、頭に何か温かいものが触れる。
 それが久我さんの大きな手だとわかると、私は弾けたように彼に縋りついていた。
 
「わぁん、誠治くん〜〜」

 彼の、下の名前を呼んだ気がする。
 けれど私は、彼に寄りかかったまま、すでに意識を手放していた。
 
「……まいったな……」